上から 弘/M(漢字/本明調)
 味明モダン弘/EB 味明弘/EB

デューラー
of the Just Shaping of
Letters Albrecht Durer より


オプティマ


フーツラ


ノイエ・ハース・グロテクス


ユーロスタイル(ネビオロ)


タイポス66


ナール


築地ゴシックB
+タイプバンクゴシックB

伝統をふまえた書体は調和する

 「ノイエ・ハース・グロテスク(後のヘルベチカ)」と、活字時代からの一般的な骨格を持つゴシック体は実に良く調和する。伝統的なエレメントを持つ明朝体とローマン体が調和するように、それぞれの国の伝統をふまえてデザインされた書体はよく調和する。
 このことは表面的なエレメントの違いよりも、文字本来の固有の形から離れた違和感の方がより抵抗感があるということなのだ。
 明朝体にはローマン体が調和する。本文用には、基本的には「オールドローマン」だろうが、ウエイト調整が適当ならば、「ボドニ」でもよく調和する。見出し明朝にはボドニ系のアルファベットだろう。
 日本文に英文・数字が混植される原稿を頂いた時、日本のタイプフェイスに適正が考えられたアルファベットがないことをいつも残念に思う。
 現在のDTP用のフォントにもアルファべットはセットされている。しかし、使用に値するだけの魅力を持ったものは少ない。多くは欧文のアルファベットを見なれてしまった我々には使用に耐えない。


漢字、仮名、欧文は、別の書体である

 日本語フォントにセットされたアルファベットに魅力がないのは、漢字仮名約7000字の一部として、悪くいえば片手間に、デザインしてきた結果なのである。アルファベットは、その素養を持つデザイナーにまかせるべきである。その総合で日本語フォントを考える時代が来ている。
 その場合、忘れてはならないのは、どこまでも漢字仮名という、日本の文字が主体であり、アルファベットはその使用量からも従の存在であるということである。間違っても、アルファベットに合わせて日本の文字が変形されることがあってはならない。
 「味明」のアルファベットは成澤正信氏にデザインをお願いした。


右から
弘/M(漢字/本明調)
味明モダン弘/EB
味明弘/EB

味明/EB 欧文



味明モダン/EB 欧文



本文組 欧文
「味明」の欧文/成澤正信

 一般的な和文フォントは1000em正方形ボディにデザインされている。その和文フォントにセットされている欧文フォントはその1000emボディの下から120emのベースラインを基準にそれぞれの文字幅でデザインされているため、この120emを守り、和文センターに合わせて欧文大文字を調整すると小さくデザインするほかなく、欧文全体が小さめになってしまう。結果的に欧文は上がって見えることになる。それでも、長文の本文ではそのまま使われてしまうことが多いが、見出しや、厳密な小型グラフィックではベースラインを下げ、ポイントを上げるなど、手を加える必要があるが「味明」ではそのまま使える。
 「味明」用のアルファベットは、縦線が太く、横線の細い明朝体の特徴に良くあうよう、エックスハイトを高めに設定したボドニ系のアルファベットで、大文字のステムは漢字よりわずかに太くデザインした。
※本文明朝体用仮名にはオールドローマン系のアルファベットを同様のコンセプトでデザインした。