▼2010-07-01 15:59 星野昌彦第十二句集「三ノ輪町界隈」 星野昌彦氏の12冊目の句集が完成した。タイトルは「三ノ輪町界隈」。 後記に、朝は、抹茶を楽しみ、夕べは、酒を賞味しながら俳句を作る。昼間は、読書したり、物を書いたり、「三ノ輪町界隈」を散歩する。とある。そう、星野氏は三ノ輪町に住んでいる。 タイトルをいただいた瞬間に思ったのは、星野氏の自宅の裏手を流れる川のこと。その川を国道一号が横切り、橋が架かっている。その袂に、川にせり出すように桜の木があった筈だ。 桜が満開で日が沈む頃の撮影がいい。表紙は夕日に向かって逆光で水面が光っている。 順光で夕日に映える川岸と水の落差。表紙に使用。 同じ桜を下流から撮影。ケースに使用。 見返しは橋の下の川面に散る桜。 毎年一冊、いつも贅沢に作らせていただいている。春夏秋冬それぞれ125句、計500句。最後の句が「入河屋灯ともる味岡伸太郎」恥ずかしいようで嬉しい一冊が増えた。 ▼2011-04-26 18:57 源氏物語 ここ数年、毎年一冊毎年一冊、意欲的な捜索活動を続ける俳人星野昌彦氏の今年の題材は「源氏物語俳句絵巻」発刊は7月。俳句絵巻に私もあやかって、星野氏の俳句を書いて絵巻に挑戦した。 作品は「桐壺」。色の部分は久しぶりに土を塗ってみた。不純物だらけで、粒子も粗いため、絵の具にはない調子が簡単にでる。やはり自然の力にはかなわない。 人は自然に生かされ、自然に生きなくてはならない。そのことを忘れがちな人間を、東日本大震災は諫めたのだと、私は思っている。いささか厳しすぎる訓戒ではあるがノ 。 許されるなら、この作品で装幀を考えてみよう。どんなデザインになるか楽しみである。 ▼2011-06-27 10:16 源氏物語俳句絵巻 星野昌彦氏の第13句集「源氏物語俳句絵巻」が完成した。氏の句集の装幀を担当して10冊目になる。ここ数年は毎年の発行で、その精力的な発表に驚かされている。 今回は、源氏物語に題材をとり、源氏物語54帖に10句。内「雲隠」には句がなく、合計530句にまとめられている。 装幀は「俳句絵巻」に合わせて冒頭の「桐壺」の句を絵巻状に書いて見た。表紙から箱、見返しへと続くデザインになっている。 本を手にとり順に開いていくと、絵巻が展開されていくことに、何人が気付いてくれるだろう。 ▼2012-07-06 16:03 星野昌彦第一四句集「花神の時」
俳人・星野昌彦氏の第一四句集「花神の時」が刊行。 平成十四年、七十歳の第五句集「五丁目二十八番地」から、八十歳になる今年、平成二十四までで十冊目となる。老いて、などと書くと、しかられそうだが、句作は、ますます盛ん。年に一冊の驚異的なペースは、枯れることのない、イマジネーションの賜物。 「花神」とは「花咲爺」のこと。今まさに俳人・星野昌彦氏「花神の時」を迎えている。句集は春・夏・秋・冬、それぞれ一二五句。春「花神の時浴槽に首浮いてをり」に始まり。冬「殺されし牛へ繋がる風の途」まで五〇〇句が収められている。 第一句に続くのは「老爺すなはち花神と言われサロンパス」。そして「足腰が弱るたんぽぽ遠近(をちこち)咲き」。老いることを実感として受け止めつつ、それすらも一つの諧謔として、生きる喜びを、日々積み重ねた五〇〇句である。 デザインは牡丹の花。中国で「花神」は牡丹のこと。表紙、箱は赤い牡丹。見返しには白い牡丹の花をあしらってみた。 ▼2013-07-02 10:41 星野昌彦第十五句集「天狼記」 装丁をした星野昌彦第十五句集「天狼記」が完成した。ハ句集は 天狼の星確かめる鬼瓦 甍犇(ひし)めく 天狼の星煌めきて の二句で始まる。 天狼とは、太陽を除けば地球上から見える最も明るい恒星「シリウス」。「天狼記」人はこの天空の下で生きてゆく、それを、日々見続ける俳人がいる。屋根の上に浮かぶ。蝙蝠、月、飛行機 そしてテレビのアンテナ、電線。 写真は娘の明里。 本文に使った書体はもちろん私のデザインだが、タイトルの、「星野昌彦 第十五句集 天狼記」はほぼ完成した私の新しい明朝体。まもなく、リリースの予定。 印刷所の製版の責任者が見た途端、先生、新しい書体ですねと、言ってくれた。普通の明朝体を心がけたのだが、分かる人には分かるものだ。毎年一冊の句集を出し続け、ついに、第15句集にまでなった。毎年の装丁は楽しみな仕事の一つ。星野氏の句境の充実にも毎年驚かされる。 ▼2014-06-30 09:14ハ 星野昌彦 第16句集 虚空領 星野昌彦 第16句集 虚空領が刊行された。 装幀は題名の「虚空」から ただ雲が浮かぶ 何も無い空ではなく 人の住まう空間の向こうに ぽっかりと抜けた無限の広がり などと、かっこいい言葉を言えれば良いのだが、そうではない。実は、新しいカメラを買った。そこで試し撮りをと、土曜の昼下がり、最近は歩いて通う床屋の片道45分。往復の道を変えシャッターを押した。その中から8枚を、ケース・表紙・見返しに使用した。 本文はいつもの通り。1頁に二句、全500句。 それにしても、最初の二句が「虚空領蛙飛び込む水の音」「菜の花や月は東に虚空領」。であることには驚かされる、パロディであることは分かるが、これを堂々と初句におけるのは、この10年、毎年一冊の句集を発行してきたことの大きさなのだろう。 つくづく、多作であることの大切さを教えられる。作品を吟味し、結果寡作であることは、一見尊いかに見えるがそんなことはない。「量は質を凌駕する」細かいことにこだわる寡作は貧相だ。